FC2ブログ

デニム中毒者のたわごと

『文藝月光』&poetry

リアル・ワールド

 
購読している新聞に、こんなコラムが載っていました。

ひと組の母子の話です。

子供が幼い頃、幼稚園の送迎バスを断って、片道30分を一緒に歩くことに決めたそうです。もちろん子供の速度に合わせてゆっくりと歩くんです。

すると日々それぞれに発見があるんですよね。そうして四季の移り変わりを味わいながら育った子供は、すくすくと成長し、心身ともに健康な若者になりました。

その一方、有名大学の学生たちに推定可能な数値を訊くと、驚くような回答が寄せられるというんです。決して難しい質問なんかじゃありません。

たとえば「東京―札幌間のだいたいの直線距離は?」とか、「一円玉の直径はどれくらい?」とかの子供じみた質問です。

ところが前者は「30km」、後者だと「5cm」などというとんでもない答えが返ってくるというんです。信じられますか? ジョークで返してきたわけじゃないんですよ(ジョークだとしても、センスがないですよね?)。

そうしてコラム氏は次のように語ります。

現実世界を体感すること――それが学ぶということだろう。バーチャルな感覚をいくら肥大化させても、人生の真の豊かさは得られまい。

「世界を知る」とは教科書の知識を暗記することではない。季節の風と光を、わが身に浴びることから始まる。


ボクは首肯しつつも、「やはり想像力に欠けるんだよ」と呟きます。
記憶するためだけの本(教科書や参考書の類)しか読んでこなかったからなんだと。

想像力って、必ず他者性へと繋がっていくものなんですよね(妄想はまた別ものですが、それでもまだマシです)。

+++++

コラム氏が書いた母親と子供の事例ですが、個人的実感としても良く分かるんです。

実際に自分たちもそうして子供たちと関わってきたし、それなりの問題を抱えたときも、早めに家を出て、親戚の家で飼っている犬を連れて、一緒に少々遠回りしながら歩きましたから。

時に立ち止り、道端に生えている草や、犬が発見した「ことども」に視線を送ったり、
降り注ぐ陽光に目を細めながら、大空を漂い流れ行く雲を惚けたように見つめていたものです。

+++++

拙作にも同様の「こと」を書いたヤツがあります(笑)

そのプロローグ的部分だけ紹介させてください^^(←はい、そこのひと、首を横に振らないよーに・・・笑)

「シュトルム、ウント、ドラング」
ある日の全校集会で校長先生がその言葉を使った。

「しゅとるむうんとどらんぐしゅとるむうんとどらんぐ」と、その後で僕たちは呪文のように繰り返し、ふざけてはしゃいだ。

その言葉の意味することはもちろん、何故口にしたのかという意図なんて僕たちに分かるはずもなく、ただ響きのみ受け入れた。でも、僕たちが感じている世界と違ったところで、時代は言葉の意味する通りに動き始めていた。

一年の半分近くが雪に閉ざされる僕の村では、春は特別な季節だ。

出稼ぎに行っていた一家の主が、両手いっぱいに持てるだけの土産を抱えて帰って来る季節であり、学校を卒業した若者たちが、わずかな手荷物ひとつで、都会へ集団就職していく季節でもある。湖に飛来していた水鳥たちが北へ帰る時であり、長い冬を遣り過ごしていた生き物たちが再び活動を始める時でもある。

ひとつの終わりがあれば、また、ひとつの始まりもある。そうして僕たちはひとつ、年齢を重ねる。いずれにしても、自分で自分を生きているもの達にとっての再生の季節、それが春だ。そして、雪深い僕の村では、緑はじける五月こそが、そう呼ぶのにふさわしい。

でも、それも束の間だ。ようやく巡ってきた春は、それまでの遅れを取り戻そうとするかのように往き急ぎ、たちまち季節は変わってゆく。

一九六九年五月。僕は十歳になった。

大人たちから見たら、情けないほど短い時間しか生きていないけど、それでも僕は僕なりに世界を捉えようとしていた。

もちろん僕が捉える世界なんて、まだたかが知れてる。それは分かっている。でも、だからこそ僕なりに必死に捉える努力をしているのだ。学んでいるのだ。あんまり見下してほしくないと思う。

自分の足で歩くことによって、そしてその繰り返しの中で、次第に村の大きさやかたち、住んでいる人々や動物たち、いろんなことを自分なりに掴み取ってきたのだ。

同じ道が季節の移りかわりの中で、さまざまな姿に変わること。生き物たちの生き死に――その中には人の死も含まれていた――を知った。自分の前に落ちる影の長さと色の濃淡に時の経過を学び、何気なく耳に挟んだ大人たちの会話からは、違和感と不信の気持ちを覚えた。

好奇心こそが自分を動かす原動力だった。五感を総動員して僕は動き回った。ひとつの好奇心が連鎖的にまた違う好奇心を導き出し、それらは拡大し、分散し、回帰し、収束した。
 
実にいろんなことを学んだ。そうして学んだことは、自分の思考、行動パターンとなり、「僕」自身を創りはじめていた。拙いながらもそれは、僕なりの世界観となっていった。


+++++

もちろん本篇は縦書きだし、こんなに空行を設けていません。ですからこのサンプルは、ブログとして読みやすいようにレイアウトを変えています。

これがやがて700枚近くに膨れ上がっていくんですから分からないものです(笑)

4人の少年を巡る物語でして(そう、キングさんの『スタンド・バイ・ミー』や、マキャモンさんの『少年時代』でもお馴染みのフレームです)、時代性をとても意識した作品に仕上げたつもりです。

そして間違いなく1969年は現代にリンクしている「年」だったと信じているんです。

+++++

そんな「パラレルワールド」でありつつ、内面的にはやはり「リアル・ワールド」な物語なんですよね。

これだけじゃ「なんのこっちゃ?」ですけど、いずれ陽の当たる場所に出してやりたい「サーガ的物語『群』」の「種子」に相当する部分なんです。

あれこれとプランも立てているんですよね(「ぜんたい」では相当な分量になるでしょう)。

どこかからオファーが来ないかな(笑)絶対に損はさせない自信があるんだけど。






*Edit ▽TB[0]▽CO[4]
Tag List  [ +++++ ] 
   

~ Comment ~

お、番宣か(笑) 

コウさん売込中ですね(笑)

リアルな感覚の貧弱化は、わたしも常々感じること、多いです。
それはやっぱりリアルに接していないせいでしょうね。

実際に触れてみないと火の熱さはわからないし、飛び込んでみないと水の冷たさを全身で感じることはできないし、バックモニターに頼ってばかりいると前から駐車することができなくなります。

もともと備わっていて、育てていけるはずの感覚が働かなくなるからなんでしょうね。

宣伝マン 

エムさん、こんにちは^^

> お、番宣か(笑)
コウさん売込中ですね(笑)

そ、宣伝マンなの、あちし^^
♪ ちゅちゅんがちゅん ♪ センデンにぃ、スズメがサンバ踊ってたァ~♪・・・ん? なんか違う。

>リアルな感覚の貧弱化は、わたしも常々感じること、多いです。
それはやっぱりリアルに接していないせいでしょうね。

おそらくね。実際にラクなことが多いし(というより、「煩わしいことを回避できる」ってことでしょうね)、そういうのに慣れちゃうと逆戻りは難しいだろね。

でも、そういうのって、ある種のジャンキー状態と一緒だから、実際にかなり危険なことだと思います。

>実際に触れてみないと火の熱さはわからないし、飛び込んでみないと水の冷たさを全身で感じることはできないし、バックモニターに頼ってばかりいると前から駐車することができなくなります。

そうそう、そういうことです。

>もともと備わっていて、育てていけるはずの感覚が働かなくなるからなんでしょうね。

実際に使わない機能は退化していますからね。子供たちの歯の数が減少しているのも、柔らかい食物ばかり食べているからみたいですね。小顔も退化らしいです(顎を使わないから)。

どうやらホンモノの新人類が誕生しつつあるようです。

1969年4月に、 

私も10歳になりました(^^)

ごぶさたしてました。
忙しくてテンパっていました(^^;)

>実にいろんなことを学んだ。そうして学んだことは、自分の思考、行動パターンとなり、「僕」自身を創りはじめていた。拙いながらもそれは、僕なりの世界観となっていった。

コウさんの小説の文、初めて読みました。
いやいやいや、透明感があってきれいだなぁ。なんかうっとりしますよ。これって、やっぱり住んでいるところの空気のせいなのかな・・。


>これだけじゃ「なんのこっちゃ?」ですけど、

いーえ。冒頭だけで、もう泣きそうになりますね。そして負けてたまるか(笑)みたいな気持ちがふつふつと湧いてきます。
絶対に書籍化して欲しいです。

このようなきれいな文章に触れるのはね、すごーーく幸せなコトなんですよっ
コウさん、わかってるでしょう?

おっ、そうですか! 

サイさん、おはようございます^^

>1969年4月に、
私も10歳になりました(^^)

あ、そうなんですか! もう少しお若いかと思っていました。リアルなボクは5月ではなく2月なので、学年的にはひとつ上になりますね^^

>ごぶさたしてました。
忙しくてテンパっていました(^^;)

そりゃそうでしょ、と思っておりました。体調方面にはくれぐれも気をつけてください。

>>実にいろんなことを学んだ。そうして学んだことは、自分の思考、行動パターンとなり、「僕」自身を創りはじめていた。拙いながらもそれは、僕なりの世界観となっていった。

>コウさんの小説の文、初めて読みました。

あ、そうかもしれませんね^^

>いやいやいや、透明感があってきれいだなぁ。なんかうっとりしますよ。これって、やっぱり住んでいるところの空気のせいなのかな・・。

そんなこと言っても何も出てきませんよ(笑)あ、飴ちゃん食べるぅ?(←大阪のおばちゃんかいっ!)。

>>これだけじゃ「なんのこっちゃ?」ですけど、

>いーえ。冒頭だけで、もう泣きそうになりますね。そして負けてたまるか(笑)みたいな気持ちがふつふつと湧いてきます。

ありがとうございます。寒い時期なので、沸いてくるのも嬉しいですね(←そっちの「わく」ちゃうやろっ!)。

>絶対に書籍化して欲しいです。

ねっ(笑)
あ、でも、お手隙になりましたら読んでみます? いつでもメールに添付して送りますけど^^

>このようなきれいな文章に触れるのはね、すごーーく幸せなコトなんですよっ
コウさん、わかってるでしょう?

うーん。非常~に、こそばゆいんですけど(笑)ボクのことは置いといて、サイさんがイワン(バカぁん)としていることなら、よおーく分かります^^

読む方も書く方も、そういうのがいいですもんね。
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)