デニム中毒者のたわごと

『文藝月光』&poetry

詩は裸身にて

 
今回のタイトルは宮沢賢治さんの言葉から拝借しました。賢治さん愛用の手帖に刻まれていた言葉です。こんなの↓

詩は裸身にて理論の至り得ぬ境を探り来る。そのこと決死のわざなり。

境界(「境」)という、ボクの大好物な言葉が出てきました。

個人的に「境界という薄い膜のようなもの」に、多くの「こと」が含まれていると思っているんです。そして、「それ」を表現することこそが芸術なんじゃないかと。

+++++

賢治さんの言葉自体は、「理」に偏った表現の危うさを言っているんだと思います。
そんなのより、より「根源的なもの=裸身」で語ることが大事なんだってね。

そうでないと、もっともっと奥深い「先」へは到底行くことができないのだ、と。

つまり「本然的なもの」こそが肝心だということでしょう。そうすることによって初めて、誰にも真似できない「個人の本質に根付いた言葉」で表現できるようになるんだよって。

そういう賢治さんのヴォイスを感じるんです。

+++++

で、唐突にこの曲が浮かんでくるんです。バッハの『G線上のアリア』です。



ご存知のようにバイオリンは4弦楽器です。高い音を出す弦(細い方です)からE、A、D、Gの音になっていて、一番低い音を出す(つまり最も太い)弦が「G線」なんですよね。

この弦だけで演奏するスタイルが生まれたため、こういう曲名になりました。

でも、これだと教科書通りの答えですよね(それに現在ではG線だけ使った演奏を聴くことはレアだと思います。てゆうか、やってるのかな?)。

そうではなくって、本当に知りたいのは「何故そうしたのか?」です。だって、バッハが本当に作ったのは『アリア』であって、そこに「G線」を加えたのは後の演奏家たちだったのですから。

個人的には「最も低いG線」だということがポイントだと思っているんですけどね。もちろん「境界」として、です。

それについての我田引水的仮説もあるんですけど(で、実際に書いたんですけど)、かなりややこしくなったので、自主規制して割愛させていただきます(笑)

自分で読んで疲れるんスから、間違いなく「開かれていない文章」になっていますね。

あ、でも、より根源的な「こと」に近いのは、やはり「低音域」だろうという考察が元になっていることだけ、お伝えしときます。

(なんだか、これだけで充分な気もします^^)

+++++

さて・・・先ほどの賢治さんの言葉には続きがあります。

イデオロギー下に詩をなすは、直観粗雑の理論に屈したるなり。

これも先の言葉をパラフレーズしたようなものですね。

つまり「理や観念」に依拠したものではなく、より「根源的・本質的なこと」に耳を澄ませ、そこから言葉を掬い上げる(=救い上げる)ことが肝心だという宣言なのではないでしょうか。

とはいえ単なるイマージュの垂れ流しだとしたら、それはもはや作品の体を成しません。そのあたりの危うい境界上の隘路を決死の覚悟で歩むからこそ、純度の高い作品が生まれ得るのだと思います。

一歩踏み外したら、どちらも断崖絶壁です(ただし完全な闇の中だろうから、目には見えないでしょうけどね――それが唯一の救いかもしんない)。

ハードボイルドでクールだねぇー。

「情には流されないけど、しかし情緒的ではある」

ってのが、ボクが宮沢賢治さんに対して抱いているイメージです。でも、実際のところはどうなんでしょうね?






*Edit ▽TB[0]▽CO[2]
Tag List  [ +++++ ] 
   

~ Comment ~

イデオロギー下に詩をなすは、直観粗雑の理論に屈したるなり。 

上記、「イデオロギー下に詩をなすは、
     直観粗雑の理論に屈したるなり。」だが
①まず第一聯とはパラフレーズとは考えられず別のことを言っているのではないか。「イデオロギー下」は思想とも考えられるがこの場合は前記の詩のことだ。賢治の詩はあの首からぶら下げた手帳に走り書きする写実風の詩だ。頭で捏ね回した妄想的な概念は一切ない(例えば入沢康夫の「わが出雲・・・」のような)すべて感性的な契機の直観によるものだ。
②従って第2聯の「直観」はただの文学的な「直観」などではなく、哲学的なのカントの認識論の「直観」のことだ。となれば所謂時空のアプリオリな形式、直観の形式を粗雑にすることは詩作ではないと言っているのだ。感性的直観と悟性による総合こそ詩作であると言っていると思うのだが。

ありがとうございます。 

石川 朗さま、こんばんは^^ ご来訪ありがとうございます。お説拝聴いたしました。感謝申し上げます。
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)