デニム中毒者のたわごと

Literature

レイモンド・カーヴァーに学ぶ  その49

 
インタビュー記事の続きです。

❤「静かな生活」❤

――着実に仕事をしているときの普通の一日はどんなふうですか。

カーヴァー 早く起きる。六時から六時半のあいだだ。コーヒーを飲んで、シリアルか何かを食べる。いつも八時には机に向かっている。調子の良い日なら、十一時か十二時まで机の前から動かない。それから遅目の朝食。調子の良い日は、一日中机の前で何かしていられる。仕事が、書くのが好きだからね。仕事をしているときは、電話は留守番電話にセットして、二階の電話はプラグを抜いておく。電話が階下で鳴っても聞こえない。夕方、留守番電話に伝言が入っていないか調べるんだ。テレビはあまり見ない。ニュースはたいてい見るけどね。それから、かなり早く床に入る。おおむね静かな生活だよ。

村上春樹さんの執筆スタイルと重なりますね(きっとカーヴァーから学んだんでしょう)。

――あなたは短編小説を始めから終わりまで一気に書くのが好きですか。

カーヴァー そうだね。中断させられてストーリーを忘れてしまうのが心配なんだ。初めに抱いた書きたいという気持ちを見失ってしまうんじゃないかってね。最初の草稿を書くのに二日以上かかったことはない。普通は一日で書いてしまう。その後、時間をかけてタイプし書き直す。だが、ストーリーを見失わないうちに書いてしまうのは良いことだと思う。次の日になれば、もうあまり良く見えないかもしれない。だから最初の草稿に自分の期待感を全部ぶち込んでしまわなければならない。そこから何かが生まれることをただ期待し、信じるんだ。ひたすら最後まで突き進み、期待感がなくならないうちに素早く最初の草稿を仕上げてしまうようにするんだ。書いてしまえば書き換えたりなんかもできる。そうなったら、ゆっくりとあれこれ考えても大丈夫だ。

――どこかで読んだのを覚えているのですが、書き始めたばかりのころ、よく家を抜けだして車の中で書いたそうですね。

カーヴァー そうだったんだよ。あれは仕事場としては推薦できないけど(笑)、でもあのころのぼくの暮らしぶりでは、ああするよりほかなかったんだ。あのころは少なくとも「何か」を書こうとしていたことは確かだ。あのころやったことが今でもいくらか残っているかどうかはわからないけど。何かしようとしていたんだけど、行く場所がなかった。ぼくは若かったし、家にはぼくの居場所がなかったんだ。家を出て車に避難などしたくなかった。静かに田舎をドライブして、川べりで車を止めて物思いにふけりたかったわけじゃないんだ。そんなんじゃなく、ただ家を出て駐車場に止めた車の中に坐っただけなんだ。ただ、子供たちや家の中の騒ぎや混乱から逃れるために。車がいわば、ぼくのオフィスだったわけ(笑)。

――学生に物書きの生活がどんなに厳しいか警告していますか。

カーヴァー ときどきそのことを少し話すんだが、どんなに大変かは教えられるものじゃない。本当にはね。自分の書く物にたいしてできる限り誠実でなければならないとか、少しでも良い物を書くつもりなら、これからの人生はすべて書くことに捧げなければならないなんてことを、詩人や小説家の卵にむかって教えられるもんじゃない、彼らがこれからどんな経験をしなくてはならないかは伝えられるものじゃない。一通りの説明ぐらいはできるかもしれない。でも、それは自分で実際に体験しなくてはいけないことだ。そして自分でそれをくぐり抜けなくてはならない。優秀な学生には多くを語る必要はない。賢い学生はどんなものか直感することができるし、容易なことじゃないということがわかるだろう。賢くもなく、自分に厳しくもない学生は、卒業後しばらくすると書けなくなる。

最後は厳しい話でしたが真実でしょうね。
何かを成そうとするならば、何事も決して甘っちょろいものではないはずですもんね。

つづきます。



   

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